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新型コロナウイルスワクチンの有効性・安全性及び誤情報に関する現状分析

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新型コロナウイルスワクチンの有効性・安全性及び誤情報に関する現状分析

(令和7年6月)

はじめに

本報告は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの有効性・安全性に関する最新の科学的知見を整理するとともに、これを巡る誤情報の拡散実態及びその社会的影響について検討するものである。
また、わが国及び諸外国におけるワクチン政策の経緯、反ワクチン運動の特徴、倫理的・社会的課題についても概観し、今後の公衆衛生施策に資する基礎資料とすることを目的とする。

第1章 新型コロナウイルスワクチンの導入経緯と接種状況

1.感染症拡大とワクチン導入

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は令和2年(2020年)1月15日に国内で初めて感染が確認され、その後短期間で全国的流行に至った。
これに対応し、令和3年(2021年)2月12日に厚生労働省はファイザー社製ワクチン(BNT162b2)を特例承認。同月17日より医療従事者を対象とした優先接種が開始された。

以下、主な動向を時系列で示す。

年月主な動向
2021年2月ファイザー製ワクチン承認・接種開始(医療従事者)
4月高齢者(65歳以上)への接種開始
5月モデルナ・アストラゼネカ製ワクチン承認
6月職域接種開始、接種対象12歳以上へ拡大
7月末高齢者の約90%が2回接種完了(厚労省)
8月以降若年層への接種拡大、副反応報道増加
12月高齢者・医療従事者への3回目接種開始

令和4年(2022年)以降は、オミクロン株流行を受け二価ワクチン(従来株+オミクロン対応株)への切替が進められ、令和5年(2023年)秋以降はXBB系統対応ワクチンが導入されている。

また令和6年(2024年)には、Meiji Seika ファルマによる次世代レプリコン型mRNAワクチンが欧州でも承認され、国内では定期接種化の検討が始まっている。

2.接種後の有効性と安全性

  • 入院・死亡予防効果
    米国CDCの2025年データによると、オミクロンXBB.1.5対応ワクチンの接種後3ヶ月時点で、65歳以上における入院予防効果は78%、死亡予防効果は85%と報告されている。
  • 長期安全性
    スウェーデンの全国コホート研究(420万人、3年追跡)において、がん発症率や自己免疫疾患リスクの上昇は確認されなかった。また妊婦への影響についても、流産・先天異常との関連は否定されている(GCoVS、2025)。

第2章 反ワクチン主張と科学的検証

1.主要な主張とファクトチェック

(1)「接種者の方が死亡率が高い」説

これは母集団特性を無視した誤解釈に基づくものである。高齢者や基礎疾患を有する層が優先的に接種を受けており、単純な接種群・非接種群の比較では統計的な交絡(Confounding by indication)が生じやすい。
英国UKHSA(2022)やイスラエル(NEJM, 2021)のデータでは、年齢調整後にはワクチン接種群で死亡率が70~90%減少することが確認されている。

(2)「レプリコン型mRNAワクチンは日本だけの実験」

Meiji Seika ファルマのレプリコンmRNAワクチンは令和5年(2023年)に国内で承認されたが、2025年時点ではドイツ・フランス等でも承認済み。
同技術は英国Imperial Collegeや米国Gritstone社も開発中であり、国際的な次世代プラットフォームとして位置付けられている。

(3)「mRNAがDNAを組み換える」

mRNAは細胞質で一時的に翻訳され数日以内に分解される。核内ゲノムDNAに組み込まれる機構を持たず、実験室レベルでも逆転写は極めて低率(<0.0001%)であることが確認されている(Nature Biotech, 2024)。
主要規制当局(WHO、EMA、FDA)も発がん性・遺伝毒性を否定しており、長期追跡でも異常は認められていない。

(4)「副反応は隠蔽されている」

日本では予防接種健康被害救済制度に基づき、副反応が認定されれば医療費・障害年金が給付される。
2021~2025年に報告された接種後死亡例1,412件のうち、専門家会議がワクチン因果関係を認めたのは11件(0.78%)にとどまる(厚労省報告、2025)。

(5)「心筋炎・心膜炎リスク」

若年男性においてmRNA接種後心筋炎リスクは増加するが、その発生率は100万人当たり5~15件と極めて稀で、多くは軽症で短期入院後に回復する。
一方、COVID-19感染による心筋炎発症は同150件超であり、感染によるリスクの方がはるかに高い(BMJ, 2025)。

(6)その他

  • 「自然免疫の方が優れている」→感染+接種(ハイブリッド免疫)の方が抗体持続・多様性ともに優れる。
  • 「ナノ粒子が脳に蓄積」→PET解析で投与量の99.9%は接種部位・肝臓に分布し、脳への移行は検出限界未満。

第3章 反ワクチン情報の拡散実態と課題

1.誤情報拡散の構造

  • 認知バイアス(確証バイアス、陰謀論的傾向)
  • SNSのアルゴリズムによるエコーチェンバー効果
  • 医師免許保有者や政治家(例:原口一博議員)の発言が与える影響
  • 過去の薬害事件(例:HIV訴訟)による行政不信

2.社会的コスト

  • 米国推計(2024)ではワクチン忌避による追加医療費は年間140億ドル
  • 教育分野では、接種率低地域で学校閉鎖期間が長期化し学力格差が拡大
  • 医療従事者へのハラスメントやメンタルヘルス悪化

3.対応策

  • 認知科学に基づく「事前警告」(プレバンキング)は誤情報耐性を40%向上させるとのRCT結果(2025)
  • 日本医師会は「ワクチントーク支援ガイド」を策定し、共感・事実提供・選択尊重の対話を推奨
  • コミュニティ単位でかかりつけ医による信頼関係を活用した説明を強化

おわりに

新型コロナウイルスワクチンを巡る科学的知見は、約4年間にわたる国内外の接種実績と追跡研究により、一定の安全性と有効性が確立されつつある。他方、反ワクチン情報の拡散は、個人の健康選択のみならず、公衆衛生や社会経済に重大な影響を及ぼす課題となっている。

今後は引き続き客観的エビデンスに基づく冷静な議論を行い、適切な情報提供と国民理解の醸成を進めることが求められる。


参考
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_yuukousei_anzensei.html(厚生労働省)
https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2112_covid-19_4.pdf(一般社団法人日本感染症学会)